ノーコード開発は、ソースコードを使わずに対応するツールでアプリやサイトの開発を行います。

プログラミングの知識がなくても開発を行うことが可能です。

今回は、そんなノーコード開発の概要やメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

ノーコード開発を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

そもそもノーコード開発とは?

まずは、ノーコード開発がいったいどのようなものか、その概要からみていきましょう。

 

プログラミングを行わずにシステム構築を行う方法

ノーコード開発は、プログラミングをせずにシステム構築ができる方法です。

2010年代頃から徐々に注目されるようになり、システム構築方法の1つとして取り入れるケースも増えてきました。

ノーコード開発用のツールを使えば、ユーザーインターフェースを配置するだけで簡単な開発ができます。

そのため、プログラミングに関する知識がなくても問題ありません。

ECサイトを構築したい場合や業務効率化を自動化したい場合などに、ノーコード開発が活用されるケースが多くみられます。

 

ローコード開発との違いはコーディングの有無

ノーコード開発と違って、一部のソースコードをコーディングしなければいけないのがローコード開発です。

機能のカスタマイズをする必要がない時はローコード開発、カスタマイズ性や拡張性を重視したい場合はローコード開発を活用する、といったような使い分けが可能です。

コーディングの有無を除けば、この2つの開発方法はほとんど同じだと思って問題ありません。

 

開発期間を短くしたい場合におすすめ

ノーコード開発が向いているのは、開発期間を短くしたい時です。

また、拡張性が必要ないシンプルな開発を行ったり、システムエンジニアが在籍する開発部門がなかったりする場合にもおすすめです。

人手は足りないけれど少しでも早くシステムを開発したい場合、プログラミングの知識が必要ないノーコード開発が役立つでしょう。

必要な場面でノーコード開発を有効活用すれば、開発期間の大幅な短縮にもつながります。

 

ノーコード開発が普及した理由

ノーコード開発が普及した理由はいくつか考えられます。

ここでは、3つの理由をピックアップしてご紹介しましょう。

 

IT人材が不足している

フルスクラッチでアプリ開発を行おうと考えた時、アプリ開発が可能な人材が必要です。

しかし、アプリ開発に携われる人材を潤沢に抱えている企業は多くないため、アプリ開発会社に委託するケースが多くなっています。

委託するとしても少なからず知識が必要となるため、開発に関する知見を持つIT人材は一定数雇用しておくのが望ましいです。

IT人材の雇用が理想ではありますが、業界では慢性的にIT人材が不足しているという実態があります。

IT人材を新たに採用して育成するコストを考慮すると、開発会社に委託する場合でもアプリの開発や運営は現実的ではないと判断するケースも往々にしてあります。

一方、ノーコード開発であればプログラミングなどの知識がいらないので、IT人材がいなくてもアプリ制作は可能です。

人材育成にかかるコストなどの削減にもつながります。

 

課題が多様かつ複雑化している

企業がぶつかる課題は多様化し、今まで以上に複雑化しています。

こういった課題の多様化も、ノーコード開発が注目される理由の1つとして挙げられます。

近年は、1つの課題にじっくりと向き合って解決するより、次々に浮上する課題に対してスピード感のある対応をすることが求められる傾向にあるためです。

スピーディーに対応するには、開発の工数や所要時間を削減する必要があります。

そのような場面でノーコード開発を活用すれば、工数や所要時間の削減につながります。

したがって、課題が複雑化している現状に適した開発方法だと言えるでしょう。

 

クラウドが一般化した

ノーコード開発は、クラウドサービスとして提供されているケースが多いです。

そのため、自社サーバーを設置する必要がありません。

クラウド上でデータの管理や運用を行うのが一般的となっているためです。

従来だと、顧客の個人情報や自社の機密情報をオンラインで開発することを敬遠する傾向が顕著にみられました。

なぜなら情報漏洩などのリスクを鑑み、システムは外部ネットワークと切り離すのが望ましいとされていたからです。

しかし近年は、クラウドサービスが一般化しています。

業務利用されるケースも増えているため、セキュリティリスクに対する対策も充実してきたと言えるでしょう。

このような理由からクラウドサービスに対する信頼感は向上しています。

 

ノーコード開発のメリット

ノーコード開発を活用するケースが増えているのは、メリットが多くあるためです。

続いては、どのようなメリットがあるのかいくつかピックアップしてご紹介します。

 

誰でも開発可能

ノーコード開発は、これまでにも説明したようにプログラミングに関する知識が必要ありません。

ノーコード開発を行う際に使う開発支援ツールの拡張機能にはソースコードがあらかじめ組み込まれ、開発の方法がテンプレート化されているためです。

開発方法は、機能ボタンやヘッダーなどをドラッグ&ドロップしながら配置するだけとなっています。

成果物もイメージしやすいので、途中でつまずきにくいでしょう。

そのため、ITに関する知識がない場合でも開発可能です。

新しく人材を雇用したり、教育の機会を設けたりする必要がないので、誰でも開発できるという点はノーコード開発の大きなメリットだと言えます。

 

開発のコスト削減と開発期間の短縮につながる

開発のコストを削減し、開発期間を短縮できるのは、ノーコード開発だからこその大きなメリットです。

コーディングを行うための設計フェーズがないことが、開発期間を短縮できる理由になります。

また、コーディングを外部にアウトソーシングする必要もありません。

そのため、開発にかかるコストも必然的に削減できます。

コストパフォーマンスが良い開発方法だと言えるでしょう。

 

エラーやバグが少ない

ノーコード開発は、エラーやバグが少ないとしても知られています。

UIを配置しながら開発を行うので、不具合がほとんど起こらないのです。

つまり、安定感があって品質が高いシステムを構築できる方法となります。

UIに不具合が発生した時は、開発支援ツールを提供している会社に問い合わせることで解決するケースが大半を締めます。

 

修正や改善が簡単にできる

ノーコードで開発したシステムは、修正や改善も容易です。

細かい修正などもドラッグ&ドロップでできます。

これは、新しい事業など業務プロセスが定まりきっていない場合にも恩恵を受けられるメリットです。

何らかの変更があった時、現場の担当者自身がシステムに反映することもできるため、トライアル&エラーの促進にもつながります。

そうすることで、業務の効率化などにも良い影響をもたらすでしょう。

 

正しい業務要件を反映させやすい

従来のシステム開発だと業務担当者がシステム開発担当者に仕様や要望を伝える時、認識の相違が発生する場面が多くみられました。

しかしノーコード開発の場合は、業務を理解している社員がシステムやアプリの開発に携われます。

したがって、業務の仕様を正しく反映させることができるのです。

 

ノーコード開発のデメリット

ノーコード開発には、多くのメリットがあります。

その反面デメリットだと感じてしまう部分があることも忘れてはいけません。

次は、ノーコード開発のデメリットをいくつかピックアップしてご紹介します。

 

大規模なシステム開発には適していない

スピーディーな開発を実現できる方法ですが、規模が大きかったり複雑だったりする場合には適していません。

大規模な開発や複雑な開発は、外部システムとの連携が多くなる傾向にあります。

それらは、ノーコード開発の拡張領域を超えているパターンが多く、対応できないのです。

そのため、大規模または複雑なシステム開発を行いたい場合は、パッケージ開発やフルスクラッチ開発を選択すると良いでしょう。

 

拡張性や自由度が低い

拡張性や自由度が低いこともデメリットの1つです。

なぜかというと、プラットフォームに依存した開発方法だからです。

例えば、ボタンアイコンに会社のロゴやフォントを搭載したいといった場合は、対応が難しいです。

プラットフォームのツールを追加できないので、拡張性の高さを求めるのであればローコード開発を選択してください。

しかし、ローコード開発だとプログラミングに関する知識が必要不可欠です。

また、開発スピードも遅くなってしまいます。

それを加味した上で、どこまで求めるのか吟味することが重要になります。

 

開発に使えるツールは海外産が多い

ノーコード開発を行える開発ツールは、基本的に海外産です。

日本語対応のマニュアルが用意されているツールはほとんどないことを理解した上で使う必要があります。

実際にツールを利用する時は、翻訳をしなければいけません。

万が一不具合が発生した場合も英語で問い合わせなければいけないので、つまずいてしまう可能性もないとは言い切れないでしょう。

レスポンスも日本の企業より遅く、解決までに時間がかかってしまうことも考えられます。

 

開発用ツールの選び方

ノーコードツールを選ぶ時、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

ツール選びで後悔しないためにも、以下のポイントを参考にしてみてください。

 

利用目的や用途に合わせる

ノーコードツールは、多用途なタイプもありますが、すべてのWebサイトやアプリに対応しているわけではありません。

ECサイト用やWebサイト用、業務アプリケーション用といったように、用途が限られているケースが多いです。

したがって、ツールを選ぶ時は利用目的や用途を明確にしておくことが重要になります。

どのような機能があるのか、サポート体制はどうなっているのかなども比較検討するようにしてください。

 

料金プランから選ぶ

料金プランは、ツールによって様々です。

中には、無料プランや無料トライアル期間を設けているものもあります。

ツールごとに異なる特色があるため、まずは無料プランを一部の部署で試してみたり、無料トライアル期間を利用して使ってみたりするのがおすすめです。

試しに使ってみると、目的に合うツール選びがしやすくなります。

ある程度使うツールが絞られていて有料プランを使う予定がある場合でも、まずは試しに使い、機能などを確認しておくと後悔せずに済みます。

 

対応デバイスから選ぶ

ツールを選ぶ時は、対応デバイスも確認しておきましょう。

スマートフォンなどに対応させたいのであれば、モバイルデバイスに対応しているツールを選ばなければいけません。

検討しているツールの対応デバイスに問題がないかのチェックを怠ると、導入後に後悔してしまう可能性が高いです。

 

サポートやマニュアルの内容で選ぶ

導入前に検討しているツールのサポートやマニュアルの内容も確認しておいてください。

わからない部分が出てきた時にすぐ質問できる体制が整っているのか、誰が見てもすぐに理解できるようなマニュアルが用意されているかなどは確認すべきポイントです。

海外産のツールだとすべて英語で対応しなければいけない場合もあるので、対応言語もチェックしておきましょう。

 

無料で使用できるおすすめノーコードツール

ノーコードツールの中には、無料で使えるものもあります。

特におすすめなのは以下の3つです。

 

Webサイト構築ツール・STUDIO

Webサイト構築ツールのSTUDIOは、無料テンプレートのデザインの完成度が高く、日本語にも対応しています。

無料のツールだとテンプレートがいまいちなものも多いですが、このツールであれば問題なく使えます。

また、日本語にも対応しているので問い合わせへの返答などもスピーディーです。

共同編集も可能で、画面をシェアしながら編集したいといったニーズにも応えてくれます。

 

ECサイト構築ツール・BASE

ECサイト構築ツールのBASEは、ECサイトの運用に必要なアプリが豊富で、決済処理の代行もできます。

使えるアプリは、新商品などを目立ちやすくするラベルや特定のお客様だけに割引したい時に使えるクーポンなどです。

また、SNSアカウントとの連携も簡単で、クラウドなので自社サーバーを立てずに済むといったメリットも享受できるツールとなっています。

 

業務効率化ツール・Zapier

業務効率化ツールのZapierは、日常的に行っているシングルタスクを効率化するために役立ちます。

特定のメールが受信された時にその内容をスプレッドシートに自動保存するなどの設定ができるため、単純な作業にかかる手間を省けます。

Zapierならメルマガの自動配信も可能です。

 

まとめ

ノーコード開発はソースコードを使わない開発方法なので、プログラミングに関する知識が不要です。

ローコード開発だと専門的な知識を持つ人材の採用や育成が必要不可欠でしたが、ノーコード開発ならそのようなコストをかけずに済みます。

無料で使えるツールも存在しているので、自社に合うのはどれなのか試しに使ってみるのも良いでしょう。

ただし、メリットだけではなくデメリットもあるので、それを踏まえた上で導入するようにしてください。