ミドルブランドは、ハイブランドよりもリーズナブルで、ローブランドよりも高いミドルプライスゾーンを狙うブランドです。
駅ビルなどの大型商業施設にテナントを構えたり、セレクトショップで取り扱われたりしているケースが多いです。
セレクトショップのオリジナルブランドも、ミドルブランドに分類されます。
今回は、ハイブランドやローブランドとの違い、ミドルブランド戦略の目的、ミドルブランド戦略を成功させるコツなどについて解説していきます。
ミドルブランドとは?ハイブランドやローブランドの違いは何?
ミドルブランドの他には、ハイブランドやローブランドがあります。
まずは、この3つの特徴からみていきましょう。
ハイブランド
ハイブランドは、有名で高価格帯のブランドを指します。
明確な定義はありませんが、世間的にも認知されていて、高価格かつ高品質なアイテムを取り扱っているのです。
人気が高いハイブランドには、以下のようなブランドが挙げられます。
・PRADA(プラダ)
・GUCCI(グッチ)
・LOEWE(ロエペ)
・CELINE(セリーヌ)
・FENDI(フェンディ)
・MARNI(マルニ)
・STELLA McCARTNEY(ステラマッカートニー)
ローブランド
ローブランドは、リーズナブルなアイテムを展開しているブランドです。
GAPなどのファストファッションを手掛けているブランドやUNIQLOのように大衆向けの商品を多く展開するブランドが該当します。
リーズナブルな価格帯が魅力です。
ミドルブランド
ミドルブランドは、ハイブランドとローブランドの価格帯を比較するために作られた言葉です。
中間的な価格設定のブランドです。
平均単価は1万5,000円~5万円前後となっています。
ミドルブランドに含まれるのはどんなブランド?
ミドルブランドに含まれているブランドは多岐にわたります。
続いては、どのようなブランドがミドルブランドに該当するのかみていきましょう。
COACH(コーチ)
COACH(コーチ)は、1941年に革小物を作る工房としてニューヨークで誕生しました。
お手ごろ価格でありながら上品なデザインとなっているため、人気が高くなっています。
手の届く高級品とも呼ばれていることから、独自のポジションを確立できたブランドだと言えるでしょう。
最近はデザインが一新され、若者からの支持も集めるようになってきました。
SHIPS(シップス)
SHIPS(シップス)は、老舗のセレクトショップとしても人気なファッションブランドです。
アパレルだけではなく、クリーニング業務も行っています。
クリーニングは“ウォーター・ウォッシュ・クリーニング”という方法を採用していて、リピーターも多いです。
おしゃれなカフェの経営も行うなど、幅広い事業を展開するブランドでもあります。
Chloe(クロエ)
Chloe(クロエ)は、1952年に創業しました。
フランスの名門ブランドとして知られています。
女性用のアイテムしか取り扱っていませんが、バッグやアクセサリー、服などラインナップは幅広いです。
デザインはシンプルですが、レザーの質感を生かしたものとなっているので、高級感があります。
日本国内では、芸能人やセレブも多く使っている人気のブランドです。
BEAMS(ビームス)
BEAMS(ビームス)は、1974年に設立されたセレクトショップです。
オリジナル商品はもちろんですが、コラボ商品やセレクト商品など豊富なラインナップを取り揃えています。
日本国内には150店舗以上あり、知名度も高いです。
シンプルなアイテムも取り扱うようになってきたため、より注目度が高まっています。
FURLA(フルラ)
FURLA(フルラ)は、1927年にイタリアのボローニャで設立されたブランドです。
今は、世界各地に店舗を展開しています。
若い女性からの人気が高いブランドですが、シンプルなデザインのアイテムもあるので年齢を問わず使えるでしょう。
時代の流れに合わせたデザインのアイテムを豊富に取り扱っているため、流行に敏感な女性におすすめです。
kate spade new york(ケイトスペードニューヨーク)
kate spade new york(ケイトスペードニューヨーク)は、1993年にニューヨークで設立されました。
シンプルなデザインのアイテムもありますが、遊び心のあるアイテムも豊富に取り扱っています。
バッグや靴、時計、インテリア雑貨など幅広いラインナップが揃っているのも魅力です。
バッグなどのアイテムはプライベートでも仕事でも使いやすいため、汎用性の高さにも定評があります。
STUDIOUS(ステュディオス)
STUDIOUS(ステュディオス)は、ドメスティックブランドを中心に取り扱っているセレクトショップです。
“日本発を世界へ -From JAPAN to THE WORLD-”というコンセプトに基づいた商品を取り揃えているのが特徴です。
オリジナルブランドだけではなく、ミドルブランドからハイブランドまで幅広い商品が並んでいます。
FREAK’S STORE(フリークスストア)
FREAK’S STORE(フリークスストア)は、株式会社 デイトナ・インターナショナルが運営しているセレクトショップです。
アウトドアやアメリカンカジュアルといったテイストのミドルブランドを中心に取り扱っています。
日本国内には50店舗あります。
MICHAEL KORS(マイケルコース)
MICHAEL KORS(マイケルコース)は、1981年に設立されたファッションブランドです。
シンプルなデザインや高級感の溢れる雰囲気から人気が高まっています。
ビジネスシーンでも多く利用されているブランドです。
モノトーンなアイテムが多いですが、最近はカラー展開も充実してきたことで、幅広い年齢層から支持を集めています。
Yohji Yamamoto(ヨウジ ヤマモト)
Yohji Yamamoto(ヨウジ ヤマモト)は、有名ファッションデザイナーである山本耀司氏が手掛けるファッションブランドです。
黒いビッグシルエットがトレードマークになっています。
流行や時代に流されることがないファッションアイテムを生み出しています。
世界観が独特なので、熱狂的なファンも少なくありません。
UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)
UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)は、日本最大のセレクトショップです。
多くの人から愛されているミドルブランドでもあります。
ターゲットは20代後半~50代と幅広く、ビジネス系やドレス系のアイテムも充実しています。
品質の高さやスタイリッシュさにも定評があります。
Tory Burch(トリバーチ)
Tory Burch(トリバーチ)は、2004年にニューヨークで創設された比較的新しいブランドです。
シンプルなデザインが多く、20代~30代が多く利用しています。
品質も高いので、ビジネスシーンでも使いやすいです。
フォーマルコーデにも合うアイテムを豊富に取り扱っているので、おすすめのミドルブランドでしょう。
ブランド戦略っていったい何?
前述したブランドは、ミドルブランド戦略で成功しているところばかりです。
ミドルブランド戦略を展開したいと考えているのであれば、どのような目的があるのか、という点を明確にする必要があります。
そこで続いては、ミドルブランド戦略の目的について解説していきます。
そもそもブランド戦略とは?
ブランド戦略は、ブランドのターゲットを選定したり、発信したいメッセージを設定したりすることで、ステークホルダーに共通イメージを持ってもらうために行われます。
誰にどのような価値を感じてほしいのか、どのように認知してもらうのか、などを設計することです。
マーケティング戦略と混同される場合もありますが、マーケティングは売れるための仕組みを構築するものです。
一方ブランド戦略は、売れ続けるための仕組みを構築するものになります。
つまり、ブランド戦略はマーケティング戦略の上位概念でしょう。
ブランド戦略が重要視されるようになった背景
ブランド戦略が重要視されるようになった背景には、ユーザーが獲得できる情報量が増えたことが挙げられます。
SNSなどが発達し、ユーザーと企業の接点は増え続けています。
いくつかのブランドを比較して購入するといった買い方もしやすくなりました。
そのような状況下で、選ばれる理由を作らなければいけません。
選ばれるブランドになるための戦略が、必要不可欠な状況になっているのです。
ミドルブランド戦略の目的も把握しておこう
ブランド戦略の1つにミドルブランド戦略があります。
続いては、ミドルブランド戦略にはどのような目的があるのか解説していきます。
他ブランドとの差別化
ミドルブランド戦略を行うと、知名度や信頼度向上が期待できます。
価格や機能を売りにしている場合、製造コスト削減による価格競争が起こり、思ったような結果が得られない可能性があります。
つまり、価格ではなくブランドとしての価値を高めることが重要だと言えるでしょう。
ブランドとしての価値が向上すれば、リテンション(既存顧客維持)やLTV(顧客生涯価値)も高まりやすくなります。
そのためには、ユーザーのニーズを把握したアイテムを展開するだけではなく、オリジナリティも必要不可欠です。
オリジナリティを確立できれば、「バッグならこのブランドが好き」などと言ってもらえるチャンスも増えます。
長期的な視点で見ても有利な市場を築きやすいです。
ビジネス機会が増加する
ミドルブランド戦略を行うと、ビジネス機会の増加といったメリットも期待できます。
既存の事業はもちろんですが、新規事業も成長しやすくなります。
実際に、ブランド力が乏しいベンチャー企業よりもある程度ブランド力がある企業の方が新規事業を始めた時に成功しやすくなっているのです。
事業拡大を考えているのであれば、ミドルブランド戦略を行うのもおすすめでしょう。
宣伝広告費を削減できる
ミドルブランド戦略を成功させることができれば、宣伝広告費を削減できます。
ブランドの知名度を高めるためには広告を出す必要がありますが、認知されるようになれば減らしても問題ありません。
ミドルブランド戦略によるリピート率の向上といった効果も期待できるので、宣伝広告費を減らしたとしても安定した集客にもつながりやすいです。
ミドルブランド戦略を成功させるコツとは?
ミドルブランド戦略を成功させるために知っておきたいコツもあります。
最後に、どのようなコツを押さえておくべきなのかみていきましょう。
発信する情報に一貫性を持たせる
情報に一貫性を持たせることは、認知の形成やターゲットが受ける印象において重要な要素です。
展開するアイテム一つひとつが魅力的だったとしても、全体を見た時の一貫性がないとブランドとして記憶してもらいにくくなります。
意図していた結果とは、異なる認知となる可能性が出てくるのです。
そうなってしまうと、経営判断にも大きな影響を与えることになりかねないので、発信する情報には細心の注意を払わなければいけません。
定期的に振り返りを行う
ミドルブランド戦略に則った施策を行えているのか、という点は定量的な判断が非常に難しいです。
そのため、定期的に振り返りを行うのが望ましいです。
フレームワークを活用しながら内部の変化などをチェックし、ステークホルダーの声を聞きながらブランドの立ち位置を考え続けることがポイントになります。
活用できるフレームワークには、自ブランドがどのポジションにいるか確認するポジショニングマップ、現状の分析に使われるSWOT分析、経営戦略の立案やマーケティング手法の確立などに使われるPEST分析などがあります。
客観的な視点で分析する
ミドルブランド戦略をはじめとしたブランド戦略を立てるためには、外部環境の分析も必要です。
社内体制を構築する以外に、外部コンサルティングを活用するのもおすすめです。
客観的な視点で分析することにより、魅力的なブランドへ進化しやすくなります。
長期的な視点で考える
ブランド戦略は、一朝一夕で成功するものではなく、長期的な視点で考える必要があります。
ミドルブランド戦略も長期的な施策になると考え、最適解を目指し続けることになります。
長期的な視点で進めていくには、社員教育もブランド戦略に取り入れ、共通理解を持てる体制を構築しなければいけません。
まとめ
ハイブランドとローブランドの中間となるミドルブランドには、多くの人から愛されているブランドがいくつもあります。
ハイブランドほど高くはありませんが、品質の高いアイテムを取り揃えているのが特徴です。
幅広い場面で活躍するアイテムを揃えているブランドも少なくありません。
人気が高いミドルブランドは、ブランド戦略に成功していると言えます。
ミドルブランド戦略を取り入れるのであれば、実際に成功しているブランドのやり方から学べることはないかチェックしてみましょう。