インターネットは匿名性が高いことから誹謗中傷が起きやすいです。
企業をターゲットにした誹謗中傷は現役の従業員や退職者が行っているケースもあり、対応を間違えるなどしてさらなる炎上を招いてしまった事例も少なくありません。
そこで今回は、従業員や退職者から誹謗中傷を受けた際の対処法を解説します。
従業員や退職者による企業への誹謗中傷とは
従業員や退職者によるネットへの書き込みやSNSの投稿がきっかけで、企業への誹謗中傷が起こるケースがあります。
いくつかのパターンをご紹介しましょう。
転職サイトへの投稿
転職サイトには従業員や退職者による口コミが投稿可能です。
退職者は企業に対する不満がある場合も多く、投稿内容が厳しいものになりがちです。
◎長時間労働が常態化している
◎残業申請を無視される
◎気分で指示内容を変える上司がいる
◎営業部は不倫が横行している
退職者が内情としてこのような書き込みをしてしまうと、たとえ事実でなかったとしても見た人は信用してしまいます。
口コミ内容が発端となり炎上することも。
社外秘情報をSNSに投稿
従業員が「今日お店にタレントの○○さんが来た」「今度の企画は▲▲社とコラボが決まりそう」などとSNSに投稿したことがきっかけで企業への誹謗中傷に発展する場合もあります。
なかには盗撮したと思われる写真まで添えられているケースも。
当然ながら顧客情報も発表前の企画情報も社外秘であり、内容を漏らすのも、勝手に写真を撮ってSNSへ投稿するのもNGです。
企業の信用にかかわるのはもちろん、売り上げや業績にも影響を及ぼしかねません。
悪口や悪ふざけをSNSに投稿
企業そのものや上司、同僚への悪口をSNSに投稿したことで炎上するパターンもあります。
嫌がらせのために相手の個人情報を投稿したケースも。
商品や備品で遊んだり、異物を混入させたりする様子をSNSへ投稿する悪ふざけは後を絶ちません。
いずれもすぐに個人を特定され、本人だけでなく企業の管理体制や監督責任を問う声が殺到し、炎上しました。
企業の公式アカウントによる投稿
SNSの公式アカウントを運営する企業も多いです。
主な運用としては自社の商品やサービスのPRですが、なかには配慮に欠ける投稿をしてしまい炎上、誹謗中傷に発展することもあります。
企業アカウントといっても実際に投稿しているのは従業員であるため、個人的な意見や考え方が投稿内容に影響してしまいがちです。
その結果、誹謗中傷だけでは収まらず、公式アカウントの運用を取りやめた企業もありました。
企業が誹謗中傷を受けるとどんな影響がある?
企業がネットで炎上し、誹謗中傷を受けることで起こる影響は次の通りです。
◎商品やサービスが売れなくなる
◎誹謗中傷の対応に追われ、業務が滞る
◎社内の雰囲気が悪くなる
◎離職者が増え、求人の応募者が減る
一つずつみていきましょう。
商品やサービスが売れなくなり、業績が悪化する
誹謗中傷は、企業自体の信頼性にも影響します。
炎上のきっかけが商品やサービスに何のかかわりもなかったとしても、もはやブランドイメージ自体に嫌悪感を抱くようになってしまうので購入や利用を控えがちです。
一度離れたユーザーが戻ってくるのは難しく、売り上げや業績が下がってしまいます。
誹謗中傷の対応に追われ、業務が滞る
誹謗中傷はネット上だけのことではありません。
電話や投書などによる被害も起きるため、従業員は対応に追われるようになります。
電話が鳴れば取らないわけにはいかず、相手が納得するまで切ることはできません。
誹謗中傷が続くと業務が滞ってしまいます。
社内の雰囲気が悪くなる
自社が炎上し、誹謗中傷されるということは従業員にとっても大きなストレスです。
仕事へのモチベーションが下がるのはもちろん、誹謗中傷への自社の対処の仕方によってはストレスが増大する場合も。
家族や友人、知人の前では肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。
離職者が増え、求人の応募者が減る
社内の雰囲気が悪いことや、仕事へのモチベーションが下がったことなどを理由に退職者が出てくるようになります。
欠員補充をしようと求人を出しても、すでに誹謗中傷によって企業イメージが悪くなっているため、なかなか応募者が集まらないという状況に陥りやすいです。
企業への誹謗中傷はどんな罪になる?
度を越した悪質な誹謗中傷は訴えることも可能です。
該当する可能性があるのは次の通り。
◎名誉毀損罪
◎信用毀損罪・業務妨害罪
◎侮辱罪
それぞれみていきましょう。
名誉毀損罪
名誉毀損罪は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に科せられます。
SNSなどで名誉を傷つける内容を投稿すると適用され、内容が嘘か事実かは問われないのが特徴です。
「どれも値段が高くてぼったくりだ」「態度が悪くてムカついた」などが該当します。
内容そのものよりも、多くの人が目にするSNSに名誉を傷つける書き込みをしたという行為自体が問題視されます。
信用毀損罪・業務妨害罪
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に科せられるのが信用毀損罪・業務妨害罪です。
企業の信用を落とそうと、デマを流したり、工作をしたりすると適用されます。
自分で混入させて写真を撮り、「提供された食事に害虫が紛れていた」などとSNSに投稿したり、従業員やアルバイトが店舗内で悪ふざけをする様子を投稿したりする行為もこれらの罪に該当します。
さらに、意図的な行為だと判断されると名誉毀損罪にも問われる場合も。
侮辱罪
侮辱罪は適用されると、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます。
具体的な企業名や個人名を挙げ、相手を特定できる内容の誹謗中傷をすると問われるのが侮辱罪です。
「○○会社は違法操業をしている」「▲▲会社の※※営業部長はセクハラをしている」などが該当します。
企業が誹謗中傷を受けた際の対処法は?
誹謗中傷が起きた場合に取るべき対処法を知っておくとスムーズです。
では、企業が誹謗中傷を受けた際の対処法を順にみてみましょう。
◎投稿内容の確認と保存
◎削除申請
◎弁護士へ相談
◎警察へ相談
投稿内容の確認と保存
まずはSNSなどへ投稿された誹謗中傷の内容を確認します。
後のトラブルを避けるためにも、どのようなことが書かれているのか正確に把握することが大切です。
それと同時に投稿画面を保存しておきます。
削除申請
続いて削除申請をしていきますが、投稿者本人に直接依頼するのは悪手です。
企業側から接触があったことを投稿するなど、さらなる炎上のおそれがあります。
各SNSのガイドラインに沿って「問い合わせ」や「削除申請」などのフォームから根拠に基づいた申請をするのがいいでしょう。
弁護士へ相談
投稿の削除に応じてもらえない場合や、誹謗中傷に対して法的な対処を検討する場合には弁護士へ相談するのがおすすめです。
投稿者を特定するためにIPアドレスの開示請求やプロバイダに対する個人情報の開示請求などの手続きは専門性が高く、時間もかかります。
また、のちに刑事告訴するとなった際の手続き等も任せられるので心強いでしょう。
警察へ相談
名誉毀損罪や侮辱罪は、告訴しなければ起訴できない、いわゆる「親告罪」です。
投稿者への刑事罰を求める場合は警察へ相談するしかありません。
その際に必要なのが告訴状です。
告訴状の作成には専門的な知識が必要となるので、弁護士に依頼するのが一般的です。
企業への誹謗中傷を予防するには?
企業への誹謗中傷を完全になくすことは不可能です。
しかし予防策はいつくかあります。
社内のルール作り
企業アカウントを一人が担当している場合は2人以上のチーム体制にします。
投稿の際は必ず2人以上が内容をチェックするようにしましょう。
また、社内や店舗内での撮影を原則禁止、業務内容をSNSなどのへ投稿することを禁止とするなどのルール作りが必要です。
同時に、自社が誹謗中傷を受けた際、どのような対処をするのか、シミュレーションしておくことも大切です。
従業員へのリテラシー教育の実施
社内ルールを作ったら、従業員へ共有します。
その際、「どうして禁止なのか」という理由もしっかり説明する必要があります。
全員参加のセミナーを定期的に開催するなどして、誹謗中傷の影響力の強さを理解してもらいましょう。
リテラシー教育を実施することで情報の取り扱い方を学び、誹謗中傷が起こりにくい風土が生まれます。
企業への誹謗中傷は、過去の退職者や現役の従業員によるSNS投稿などが原因で起こる場合があります。
誹謗中傷により炎上すると、該当の投稿を削除しただけでは収まりません。
弁護士や警察への相談も視野に入れて動く必要があるでしょう。
また、社内ルール作りやセミナーの開催といった予防策の実施も有効です。




















