企業や商品が選ばれる理由は、価格や機能だけではありません。
「信頼できるか」「安心して利用できるか」といったブランドイメージも、消費者や取引先の意思決定に大きく影響します。
しかし近年、インターネットやSNSの普及により、誹謗中傷や風評被害、なりすましなどをきっかけに、ブランドが一瞬で毀損してしまうリスクが高まっています。
ブランド毀損は、売上の減少や顧客離れだけでなく、採用活動や企業価値そのものに深刻なダメージを与える可能性があります。
その一方で、こうしたリスクは適切な対策を講じることで、未然に防いだり被害を最小限に抑えたりすることも可能です。
そこで本記事では、ブランドが毀損してしまう主な原因を整理した上で、企業の信頼と価値を守るために欠かせない「ブランドセキュリティ」について詳しく解説します。
ブランドを守るために企業はどのような取り組みをすべきなのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ブランド毀損の主な原因
企業のブランド価値や評判が損なわれることを「ブランド毀損」と呼びますが、一度ブランド毀損に陥ると回復するまでにかなりの時間とコストがかかってしまいます。
ブランド毀損が起きる原因は様々ですが、例えば以下のような原因が挙げられます。
規制・法律違反
社内の規定や社会的ルール、法律などに違反する行動を取った場合、企業やブランド全体に悪いイメージがついてしまい、ブランド毀損となる恐れがあります。
例えば上司がセクハラ行為を行ったとして部下が訴え、マスコミなどに情報が流出した場合、社内規定や社会的ルールを違反しているのは上司1人だけであっても、「会社はセクハラを見逃していた」と認識される可能性があります。
セクハラやパワハラなどのハラスメント行為に加え、長時間残業や個人情報の流出、不正利用、データの持ち出し・改ざんなどもブランド毀損につながる可能性が高いです。
ブランドの侵害
自社のブランドが競合他社のブランドを侵害していた場合、訴訟を起こされて裁判沙汰にまで発展するケースがあります。
例えば他社の製品と類似する製品をつくったり、ライセンス違反を起こしたりするなどです。
また、ブランドの侵害に関しては他社が自社のブランドを侵害してくる可能性もあるため、両方の対策が必要となります。
風評被害
スマホやSNSの普及に伴い、誰でも気軽にネット上で意見を言えるようになりました。
企業にとっては自社ブランドの良い部分が拡散され、売上アップにつながることもありますが、逆に不確かな情報やデマが拡散されてしまい、風評被害によってブランド毀損となるリスクもあります。
また、企業側から事実と異なることを公式に発表したとしても、ネット上から完全にデマに関する情報を排除することは難しく、長期間ユーザーの記憶に残り続けるケースも多いので注意が必要です。
行政指導
企業が不正行為や安全規制などで違反を犯した場合、行政から指導や罰則を受けるケースがあります。
行政指導や罰則を受ける際には社名が公表されることも多く、その影響でブランド毀損に陥る可能性が高いです。
一般のユーザーにはあまり情報が届かない場合もありますが、顧客企業や取引先などからの信頼が失われ、これまでと同じような営業活動ができなくなるリスクもあります。
ブランドを保護する「ブランドセキュリティ」とは?
ブランド毀損に陥る原因は多岐にわたりますが、その中でも規制・法律違反や行政指導などは実際に違反を犯したことで起きていますが、他社からのブランド侵害や風評被害に関しては、違反を起こしていない企業・ブランドでも起こり得るリスクです。
そのようなリスクによるブランド毀損を防ぐためにも、「ブランドセキュリティ」が重要となります。
ブランドセキュリティとは?
ブランドセキュリティとは、ブランドや企業のイメージを様々なリスクから保護することを目的とする、ブランド戦略の概念です。
企業にとって「ブランド」は、大きな価値を持つ無形資産になります。
ブランド価値が高まればそれだけ顧客からの評価も上がり、他社の商品と比較した際にはブランド力の高さによって自社の商品が選ばれやすくなります。
そんなブランドをリスクから守るための施策が、ブランドセキュリティです。
ブランドプロテクションとの違い
ブランドセキュリティに似た言葉で「ブランドプロテクション」があります。
ブランドプロテクションもブランドを保護するという目的は一緒ですが、物理的な保護を指す言葉です。
例えば自社商品と似ている商品を市場から物理的に排除することで、自社のブランド品を保護できます。
ブランドセキュリティには物理的な保護が含まれる場合もありますが、基本的には商標権・意匠権といった無形資産なども保護対象です。
情報セキュリティとの違い
情報セキュリティとは、企業の情報資産を保護が目的の概念です。
情報資産とは、企業が持つすべての情報を指します。
例えば顧客データや商品の販売・在庫情報、取引先との電子メール、電子データが保存されているPCやサーバー、記録媒体なども情報資産に含まれます。
情報資産は外部に漏れてはいけない機密情報であり、万が一情報セキュリティの不備で情報が漏洩した場合、企業のブランドイメージは失墜する可能性が高いです。
ブランドセキュリティの場合、保護の対象に情報資産も含まれ、さらに社外にあり企業側でコントロールできないものにも対応することから、情報セキュリティ以上の範囲で保護が必要になります。
ブランドセキュリティの具体的な対策方法
自社ブランドを保護するためにも、ブランドセキュリティを向上させる対策が必要です。
具体的にどのような対策を取るべきか紹介します。
模倣品・なりすましへの対策
ブランドが有名になると市場に似たような模倣品が登場したり、SNSやメールなどでなりすましが出てきたりするケースは非常に多いです。
こうした模倣品・なりすましへの対策もブランドセキュリティの観点から重要になってきます。
例えばこれまでは商品にホログラムシールやQRコードなどを貼り付けることで対策が講じられてきましたが、それ以外にも独自のデザイン・特許を取得した機能などを盛り込むことで、模倣品との違いが一目でわかるようになります。
また、模倣品が多い場合は正規品と模倣品の違いを比較できる画像などを掲載したWebページを作成したり、公式サイトやSNSアカウントからなりすましへの注意喚起を行ったりすることで対策が可能です。
風評被害への対策
風評被害はSNSや掲示板、口コミサイトなど、企業側でコントロールできない部分が関与してくることから、風評被害につながる投稿を未然に防ぐことは難しいものの、早期に発見することで拡散される前に適切な対応を取ることができます。
例えば、監視ツールなどを導入してキーワードを設定すると、そのキーワードを検知したらすぐに知らせてくれます。
また、悪質な投稿に対しては削除申請を出したり、検索エンジンの上位サイトからネガティブサイトを押し下げたい場合は逆SEO対策を取ったりするなどの対策も可能です。
ただし、このような対策を実施するには専門的な知識が必要となります。
そのため、ブランドセキュリティとして風評被害への対策を講じたい場合には、専門の業者に相談・依頼した方が良いでしょう。
今回は、ブランド毀損の原因からブランドセキュリティについて解説してきました。
企業にとって重要な無形資産となるブランドを保護し、長期的に運用するためにもブランドセキュリティは必要です。
ブランド毀損につながる原因が起きてしまってからの対処では遅い場合もあるため、リスクが発生していない段階からブランドセキュリティの対策について検討してみましょう。





















