インターネットは有益な情報を得ることのできる便利なツールですが、虚偽の情報も多く飛び交っています。
匿名性、グローバル性に優れた環境だからこそ、無数の情報から正しいものだけを選び取るのは非常に難しいのです。
虚偽情報(デマ)は社会的な混乱を引き起こし、最悪の場合には命に関わる事態を招くおそれもあります。
今回はインターネット上に広まるデマの危険性について、具体的な事例とともに解説しましょう。
インターネット上の「デマ」とは?
インターネットは、とても早い速度で広範囲に情報が拡散されるという特徴があります。
書籍や新聞から調べたり、専門家の元を訪れたりするよりはるかに早く知りたい情報を入手することができるでしょう。
しかし、インターネット上にあふれている情報のなかには事実とは異なる証言や見解、データ、勘違いや悪意による虚偽情報(デマ)も存在します。
特にSNSには、個人的な感情や感覚もひとつの「情報」として発信できる気軽さがあります。
投稿した本人以外のユーザーが情報を共有できる機能もあるため、あっという間に情報が拡散されてしまいます。
もし数万というユーザーが拡散した情報がデマであったら、事実と異なる情報を多くの人が記憶することになるでしょう。
後で訂正したとしても、デマによる風評被害を解消するのは非常に困難です。
プラットフォームの進化によりサイト・ブログ・SNSによる情報発信はますます簡単になっていますが、すべてのユーザーが正しい知識や情報だけを発信できるわけではありません。
インターネットの匿名性とは
インターネットは匿名性が高く、情報の発信源を特定しづらいという特徴があります。
本名や職業、専門的分野における権威の有無、知識・経験の有無について公開しなくても情報を発信することができ、自身のプロフィールにおいて真実のみを掲載しなければならないというルールもありません。
ニックネームやペンネームで記事を執筆し、性別や年齢を偽ってユーザー登録することも可能です。
例えば執筆者が「看護師として働く20代の独身女性」と名乗っていても、実際は年齢も職業も性別ですら異なる人物が情報を発信している可能性があります。
人々はプロフィールに掲載されたさまざまな情報から相手の人柄や持っている知識を把握しようとしますが、「この人物は専門家として信用できる」と感じればどんな内容でも信じ込んでしまう人も多いです。
インターネット上で見つかった情報が正しい知識を持つ人・組織によって発信されているものなのか、それともそう名乗っているだけの人物によるものなのか判断するのは難しいでしょう。
後者であれば間違った情報を拡散しているおそれもあるため、インターネット上から情報を得る際はまず真偽を疑う必要があります。
デマによる社会的影響は?
専門的な知識を持たない人物から事実と異なる情報を入手し、その結果被害を受けたとしても責任を追及するのは困難です。
デマによって被害を受けるのは個人だけとは限らず、社会全体に深刻な影響をもたらす可能性もあります。
政治的影響
選挙期間中の候補者の言動は、投票結果に大きな影響を及ぼします。
事実と異なる情報が流れれば、有権者の意見が誤った方向へ誘導されてしまうおそれがあるでしょう。
国民による政治の選択が公正でなくなり、デマによって民意が歪まされる可能性があります。
アメリカでは大統領選でデマを利用した選挙活動が行われていると噂され、「投票結果が操作されている」と主張する政治家や有権者も少なくありません。
医療や健康への影響
不正確なデータに基づいた医療診断、エビデンスのない療法の提案は、人々の生命に危険を及ぼすおそれがあります。
インターネット上の情報を過信したことで病気の発見が遅れたり、誤った治療法を実践したりしたために深刻な状態に陥った人もいるのです。
SNSで話題になったダイエット薬を服用し、健康状態が悪化して病気を発症したという事例もあります。
人の命を左右する情報において、故意によるデマの発信が罪深いのはもちろんのこと、過失による誤った情報の提供や拡散でも「人の命を奪う可能性がある」と自覚するべきです。
経済への影響
企業に対する口コミや評判などは、ビジネスに大きな影響を与えることがあります。
事実とは異なる噂や誹謗中傷、不当な評判は売り上げを減少させるだけでなく、場合によっては顧客の流出や株価の暴落も引き起こすでしょう。
気軽に発信したデマが、大企業を倒産させるほどの深刻な大打撃となる可能性もあるのです。
誤った情報を拡散したユーザーの責任も重く、影響力のある人物が「いいね」や共有することでデマがあっという間に広まってしまいます。
風評被害は一つの企業の業績を悪化させるだけに留まらず、同じ分野・業種・関連事業を行うすべての企業に波及するおそれもあります。
最悪の場合、日本の経済全体を低迷させてしまうことも考えられるでしょう。
どんなデマが流れている?
実際に、インターネット上にはどんなデマが流れているのでしょうか。
今回は、政治やデジタル犯罪、ヘルスケアに関する虚偽情報の事例をご紹介します。
政治的デマが拡散
2016年アメリカ大統領選挙にて、SNSを通じてフェイクニュースとみられる情報が拡散されました。
具体的には「ローマ法王がトランプ候補の支持を表明」などという誤った情報が流れ、有権者の意見を誘導して公正な選挙活動を阻害したといわれています。
デマをデジタル犯罪に利用
デジタル犯罪において、デマを利用する手口が多く発見されています。
情報漏洩やフィッシング詐欺を成功させるため、メールやSNSを通じて個人宛てにデマを発信する犯罪者も多いです。
例えば銀行からのお知らせを偽装して「重要事項」と題したメールを送り、URLをクリックさせてログイン情報や暗証番号などの個人情報を盗み取る手口が横行しています。
コロナウイルスに関するデマでパニックに
COVID-19(コロナウイルス)が流行した際には、デマが全世界を駆け巡りました。
ウイルスの起源や発生源となった地域、予防法、治療法などに関する誤った情報が拡散され、適切な感染症対策を妨害。
さらに、多くの人々がパニックを引き起こす原因にもなりました。
人種や居住地に対する差別行為が確認され悲劇的な事件も頻発してしまいます。
その結果、コロナウイルスによる症状とは別の理由・要因で命を落とす人も少なくありませんでした。
インターネット上のデマから身を守るには?
インターネット上にありふれているデマに対抗するには、いくつかの戦略を組み合わせる必要があります。
例えば次のような対策は、情報を閲覧するユーザー側にも重要な予防線となるでしょう。
情報の信頼性を確認
ある情報に行き着いた際、まずはその「情報源」について信頼性を評価しなければなりません。
特に命に関わるような情報の場合は、発信者の身元について入念に確認する必要があります。
ファクトチェックの利用
信頼性のあるファクトチェック機関による情報を活用し、デマを見抜く力を強化しましょう。
多くのメディアや非営利団体でファクトチェックの提供を行っています。
AIによるデマの検出
人工知能・機械学習(AI)によって、インターネット上にある情報の中からデマを検出する研究が進められています。
自動的にデマを見つけ出し、表示させないようブロックするシステムも開発されているようです。
特にSNSは不確実な情報が拡散しやすいため、運営者はデマを即座に検出し共有できなくするシステム作りに取り組むよう求められています。
インターネットから情報を入手する場合は発信者の身元について確認するだけでなく、さまざまな側面・専門家からの見解を集めることが大切です。
複数の材料から正しい情報を見分け、デマに踊らされないよう気を付けましょう。


















