インターネットやSNSの普及により、企業や個人の評判はこれまで以上に可視化され、わずかな情報が大きな影響力を持つ時代になりました。
こうした中で注目されているのが、風評対策・風評被害対策です。
この2つはどちらも同じ意味で使われていることが多いですが、実際には役割・目的が若干異なっています。
そこで今回は、風評対策と風評被害対策の違いをわかりやすく解説すると共に、それぞれの具体的な取り組み内容について詳しく紹介します。
風評対策・風評被害対策の違いについて理解し、自社にも取り入れたいという方は、ぜひ参考にしてください。

風評対策とは?

そもそも「風評」とは、世間の評判や噂などを指す言葉です。
風評自体にネガティブな意味はなく、世間で取りざたされることを言います。
そのため、風評対策は自社に対する世間からの評判を良くしていくための対策ということになります。

近年はネット上の口コミやSNSの投稿を参考に、商品の購入やサービスの利用を決める人が多いです。
ポジティブな内容の評判が多ければ企業の信頼性も高まり、新規顧客の獲得につながりやすくなりますが、その一方でネガティブな評判が多ければブランドイメージの毀損に影響し、新規顧客の獲得も難しくなってしまいます。
また、こうした評判は消費者だけでなく就職・転職希望者もチェックしており、ネガティブな評判が広まってしまうことは、人材の確保にも影響が出てしまう可能性が高いです。
このような理由から、企業にとって風評対策は重要な取り組みになっています。

風評被害対策とは?

風評被害対策とは、風評によって発生した様々な被害への対策を指します。
例えば、ネット上に根拠のないネガティブな情報や悪意のある口コミなどが拡散されてしまった場合、信用が落ちてしまったり買い控えが発生したりする可能性があります。
そうなると企業はブランドイメージの毀損だけに留まらず、売上低下など経済的被害を被ってしまいます。
このようなネガティブな風評による経済的被害をなくす、または防ぐことを風評被害対策と言います。

風評被害は「誹謗中傷」と混同されやすいですが、誹謗中傷は根拠のない悪口や嘘などを特定の企業・個人に対して発信し、社会的評価を低下させる行為を指します。
一方、風評被害は誹謗中傷や憶測、デマなどが拡散されたことで、経済的・社会的な損害を受ける状態、または結果です。
誹謗中傷は法人・個人を特定して攻撃しており、違法性が問われる表現を含むことから、名誉毀損や侮辱、信用棄損、業務妨害などに該当する可能性があります。
風評被害の場合、企業や個人に対する事実や誤解、印象などがネット上に拡散されて信用や業績に影響が出ている状況のため、必ずしも違法とは限らず、発信者や情報を拡散したユーザーも意図的にその企業を攻撃しているわけではありません。

風評対策・風評被害対策の主な違い

風評対策と風評被害対策は、いずれも企業や個人の評判を守るための重要な取り組みですが、その目的や施策内容などに違いがあります。
ここで両者の違いを整理しつつ、解説していきます。

目的の違い

風評対策の主な目的は、企業の信頼性やブランドイメージの維持・向上です。
ポジティブな情報を積極的に発信することでリスクの抑制につながります。
一方、風評被害対策の目的は、すでに発生したネガティブな評価や誤解などを修正していき、信用低下や売上減少などの実害を回復・予防することが目的です。

施策内容の違い

風評対策では、主に以下のような取り組みを継続的に行っていきます。

・自社メディアやSNSでの情報発信
・口コミや検索結果のモニタリング
・社員へのSNSリテラシー教育
・リスクマネジメント体制の構築

一方、風評被害対策でも風評被害を防ぐために、風評対策の施策内容を実施することもありますが、場合によっては直接的かつ緊急性の高い対応が求められるケースもあります。

・誤情報や中傷投稿の削除依頼
・逆SEO対策などによる検索結果の改善
・公式声明の発信や謝罪対応
・弁護士や専門業者への相談

対応スピードと緊急度の違い

風評対策は中長期的に取り組むものであり、継続的な運用が前提です。
一方、風評被害対策では実際に被害を被った際に、対応スピードが重要となります。
対応が遅れればその分被害も拡大するリスクがあるため、迅速かつ的確な判断が求められるでしょう。

コストやリスク管理の考え方

風評対策は将来のリスクを抑えるための「投資」という側面が強く、計画的に予算を配分することも可能です。
風評被害対策も被害を予防するための対策では、事前に予算を考慮して配分することもできますが、突発的に炎上が発生した際の対応などでコストがかかる場合もあります。
また、対応を誤ってしまうとさらなる炎上につながり、余計にコストがかかったり、売上が低下したりする恐れもあるため、注意が必要です。

風評対策・風評被害対策の具体的な取り組み

上記でも簡単に紹介しましたが、風評対策と風評被害対策では施策内容に違いがあります。
具体的にどのような取り組みを実施すれば良いのでしょうか?
ここで、風評対策と風評被害対策の具体的な取り組み内容について解説します。
なお、風評被害対策は予防と事後対応、2つの観点で対策する必要がありますが、予防的な取り組みは風評対策で紹介する内容を参考にしてください。

風評対策(予防)の具体的な取り組み

風評対策では、ネガティブな情報が拡散しにくい環境を整えることが重要です。
継続的な情報発信と管理体制の構築が主なポイントになります。

・オウンドメディアや自社のSNSアカウントからの情報発信
自社サイトやブログ、SNSなどを活用して、正確でポジティブな情報を発信します。
検索結果に自社の情報を増やすことで、万が一ネガティブな情報が出てしまった場合でも、影響を抑えやすくなるでしょう。

・口コミや検索結果のモニタリング
Google検索や口コミサイト、SNS上での言及などを定期的にチェックすることで、リスクの早期発見につながります。
問題が小さく、まだ拡散されていない状況で対応すれば、炎上の拡大を防ぐことも可能です。
モニタリングは社内のスタッフが主導で確認することもできますが、24時間体制を維持するのが難しいという欠点もあります。
そのため、モニタリングツールや監視サービスの導入がおすすめです。
モニタリングツールや監視サービスを取り入れることによって、24時間365日いつでもネットやSNS上の投稿を監視でき、炎上の火種になりそうな投稿が見つかったらすぐに通知してくれます。

・社内ルールの整備・教育
社員による不適切な発言・投稿が風評リスクにつながるケースもあります。
このリスクを回避するためにも、SNS利用ガイドラインの策定や定期的な研修を実施することも大切です。
個人の発信によって企業にどのような影響をもたらすのかをすべての社員に周知させ、組織全体でリスクを共有します。

・リスクマネジメント体制の構築
万が一トラブルが発生した場合でも迅速に対応できるよう、対応フローや責任者などを事前に決めておきます。
経営層だけでなく、広報や法務なども連携できる体制づくりが必要です。
リソースなどの問題から社内でリスク管理チームを設置するのが難しい場合は、外部の専門会社と連携を強化させることも視野に入れましょう。

風評被害対策(事後対応)の具体的な取り組み

風評被害対策は予防と事後対応の両方で取り組みが必要となってきます。
特にすでに発生した問題については、迅速かつ適切に対処することが重要です。
状況に応じて、法的な対応や専門家の力を活用することも必要となります。

・投稿や記事の削除依頼
誤情報や誹謗中傷が含まれる内容が掲載されている投稿・記事について、サイト運営者やプラットフォームに削除依頼を申請します。
明らかな権利侵害であれば、弁護士に相談し、法的手段も検討することになるでしょう。

・逆SEO対策
検索結果ページの上位にネガティブな情報が記載されたページ・サイトが表示されている場合、ポジティブなコンテンツを増やして上位表示させることで、相対的にネガティブサイトの順位を下げることができます。
逆SEO対策はすぐに結果が出るものではないため、中長期的な取り組みが必要です。

・企業からの声明・謝罪対応
事実に基づいた説明や謝罪が必要なケースでは、速やかに企業から見解を発信することが大切です。
ただし、焦って対応しようとすると失敗を招き、さらに信頼が失墜する恐れもあります。
また、不誠実な対応をするとさらなる炎上につながりかねないので、透明性と誠実さが重要です。

・専門家への相談
自社だけで対応が難しい場合や影響が大きい場合、弁護士や風評被害対策の専門会社に相談してみましょう。
法的な対応や高度な対策が必要なケースでは、専門的な知見が不可欠となります。
専門家に相談する際は、実績と信頼性を確認し、予算とサポート内容のバランス、対応スピードなどもチェックしておくと安心です。

日常的に備える施策と問題発生後に対応する施策は、どちらも重要であり、状況に応じて適切に実行することが大切です。

 

今回は、風評対策と風評被害対策の違いについて解説してきました。
風評対策は将来的なリスクを未然に防ぐための対策であり、風評被害対策は予防だけでなく実際にネガティブな情報や評価に対する取り組みも含みます。
両者は同じ部分もありますが、異なる部分もあるため、違いを正しく理解し、状況によって使い分けることで企業のブランド価値や信頼を守る上で重要となるでしょう。